表現の練習:句読点と読み方

前回に引き続き、表現力を高めるための練習方法について解説します。

小説を読む

小説は戯曲や詩と違って情景などの描写が細かいので、より作品の世界観に入り込みやすいと思います。

作品によっては、ちょっと難し い表現を使っているものもありますが、まずは、言葉の意味、登場人物の心の変化や情景変化などを感じながら黙読してみましょう。

何よりも まず、読み手がその世界観を掴む事が大切です。
情景を思い浮かべながら読んでみると、短い文章の中にも話の流れ、文脈というものがある事に気付か れると思います。

実際声に出して読む際には場面によって声の表情を変えて読んでみると、聞き手により情景描写が伝わりやすくなります。

ま た、かぎ括弧で登場人物の台詞が書いてある部分に関しては、戯曲のように演技を重視して読むというよりも、全体のバランスを壊さないように注意して読むこ とが求められます。

さて、ここで句読点についても少し触れておきたいと思います。

私はアナウンスの講座で、「句読点は作 者の書き手としてのリズムでつけられるもの」と教わりました。
確かに「、」や「。」を忠実に捉えて声を出して読み上げてみると、どうしても文章の一部が不自然に耳に残ったり、意味が伝わりにくくなったりする場合があります。

つまり、文章としての句読点の位置は、言葉に発したときの リズムには馴染まない場合があるということです。

そこで、黙読の時点で漢字やイントネーション、アクセントなどのチェックが出来たら実際 に下読み(小さな声で読んでみる)をしてみましょう。場面が変わる所や文脈に注意して、伝えたい場所はどこなのか、意味が切れてしまわないかを考えながら どこで読みのリズムを「切る」かを決めていきます。

事前に「下読み」をしておくことが重要です

文の緩急、情景描写を読む際の音量調節、登場人物達の声のトーンや心情など、チェッ クする所はとても多いように感じます。ですが、難しく捉えずに自分がその世界にいかに浸れるか、多くの情報を元に自分なりに考えることがポイントになって きます。

童話を読む

文章の形としては戯曲や詩よりも小説に近いので、情景描写や台詞も(小説ほどではありませんが)細かいのが童話です。

童話の読み方 には「感情移入をする読み方」と「感情移入しない読み方」の2種類の読み方があります。

前者は感情移入をしてより情景を浮かびやすくして あげることに集中し、後者はなるべく淡々と読んで聞き手に自由に想像させる方法になります。

ただ、童話を読んで聞かせるという場合、主な 聴衆は小さな子どもになることが多いでしょう。
子どもの場合は細かな言葉の内容よりも、音の強弱や抑揚などに敏感なので、どちらかというと感情移 入をして、リズムや抑揚を強調したほうが伝わりやすくなると思います。

技術的に「上手に読む」というよりは、「興味を持って聞いている か」「言葉を理解出来ているか」など、アイコンタクトも交えて子どものリズムに合わせて読んであげると良いでしょう。

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